2010/05/29

モバイル・ブロードバンド mobile broadband モバイル・インターネット mobile internet:追記

先にモバイル・ブロードバンドの選択で,地方移動の多くなった自分としてはE MOBILEが良さそう,ということを書いた.

その後E MOBILEのプランからあれこれ検討して,最新(2010年5月時点)の「下り21Mbps,上り5.8Mbps」対応機種それ用の料金プランを選択した.月に1GBぐらいはパケットを使うだろうという見積もりで.

早速使っているが,新幹線の300km/h移動時でも回線遮断はなく,ローカル線でも人家の集落さえ車窓に見えれば何とかつながっている.
トンネルや,人家がないような区間は「圏外」になってしまうが.
東海道新幹線はトンネル内でもFOMAの電波は届くが(というかトンネル内にもアンテナを立ててあるんだろうが),さすがにE MOBILEは届かない.その点は惜しい.

ただし仮に「圏外」になっても回線は遮断されず,再度電波を拾えばそのまま通信が再開するので,操作性としては許容範囲である.

速度はさすがに大したことが無く,列車移動中は「下り1Mbps,上り200Kbps」程度(speed rbb大手町測定).都市部の街中(=21Mbpsサービスエリア)の静止状態で「下り3Mbps,上り1Mbps」程度.
これじゃあ安い方の「下り7.2Mbps,上り1.2Mbps」用の機種とプランでも変わらなかったか?(;_;)
ベストエフォートとはいえ,もう少しマシな数字が出るかと期待していた.


それはさておき.


ふと気付くと,光回線での契約プロバイダ・OCNから,「OCNホットスポットの値下げ;定額315円/月で接続し放題」というダイレクトメールが届いていた.
OCNホットスポットは,OCNの運営会社であるNTT Communicationsが行っている無線LAN(WiFi)サービス「ホットスポット」のOCN会員向け廉価版サービス

本家のホットスポットは料金プランによってはYahoo!BBと相乗りして全国のマクドナルド店内でも無線LANがつながるが,OCNホットスポットは廉価版サービスだけあって本家が設置したアクセスポイントでしかつながらない(※リンク先のサービスエリアマップで「カジュアルエリア」と表示されるものはすなわちBBとの連携なので接続不可).
つまり,大規模鉄道駅,ごく一部のシティホテル,ごく一部のモスバーガー/タリーズ/クリエ,および東海道新幹線のN700系車内ぐらいでしかつながらない.東京はもちっとつながるようだが.

でもまあ,315円/月でN700系車内でつながるなら損はないかな,ということで早速契約した.
トンネル内でもつながるようだし.
もっとも,N700系車内の速度はベストエフォートで「下り2Mbps」である.タイミングによってはE MOBILEより遅いかも.
契約時に気付いたが,OCN会員というだけで自動的に「OCNホットスポットの従量制プラン(0~3,220円/月)」が契約された状態になっていた.知らなかった.

さらに契約時に気付いたが….
OCN会員限定で,E MOBILEとの連携サービスが提供されていた
「下り7.2Mbps」のサービスではあるが,E MOBILE単体と契約するよりも若干安価な内容になっている.
こっちでも良かったかな…(;_;).
先に知らせろよ,OCN!(いや多分ダイレクトメール読まずに捨てていた)

2010/05/26

Spring Bank ★★★

ラベル: SpringBank 10年
マイ評価: ★★★

  • 蒸留所: スプリングバンク
  • 地区: キャンベルタウン
  • 原料: シングルモルト
  • 熟成: 10年
  • アルコール度数: 46%
また行きつけのバーにお邪魔した.



5月30日はこのバーの創業者にしてマスターバーテンダーの一周忌である.
当日に訪れるのは古くからの常連さんに申し訳ないと思い,数日前倒してお邪魔した.
雷雨の夜で殆ど客もなく,静かにマスターを偲んできた.

マスターのオリジナルカクテルに「枯れ葉」というカクテルがある.
レシピは…書かないのが礼儀であろう.
人生の襞を積み重ねたマスターの人柄が滲み出たような最高のカクテルである.
現在のチーフバーテンダーに丁寧にシェイクしてもらった.

享年68歳のマスターであった.短いお付き合いながらも,社会人として,男としての静かな矜持を繰り返し語って下さった.語りを通じて,小生意気なこの若造を可愛がって下さったように勝手に思っている.

マスターに「枯れ葉」を献杯.


さて今夜のスコッチは,まだ呑んだことのない地区のものを呑んでみたくなった.
ハイランド,スペイサイド,アイラ,アイランズは1-3銘柄ずつは呑んだつもり.
残るはキャンベルタウンとローランド.

特に根拠もなくキャンベルタウンを所望する.

今夜キャンベルタウンで在庫があったのはたまたまSpringBankだけとのこと.

ストレートでワンフィンガー.


いやー,これが期待を遥かに超えて美味い!!

きつすぎず弱すぎないピート臭をベースに,深い深いまろやかさと優しさ.
しかし優しいだけではない,重厚濃厚な組み立てと,全体の絶妙なバランスの良さ.
46%とやや強めのアルコールだが,きつさを微塵も感じさせない.

自分が呑んだきた日本酒に喩えるなら,初緑・特別純米・ひやおろし」のような絶妙な美味さ

ボトルキープしたくなる.

聞けば,伝統的な製法を頑なに守っている蒸留所とのこと.
未だにフロア・モルティングを丁寧に行っていると.
生酛造りの高い技術を伝承し続けている蔵元のような感じか.

この一杯もマスターに献杯.



閑話.

このバーには名物シェフがいる.
バーなのに(と言っては失礼だが)料理が滅茶苦茶美味い
コース料理(完全予約)を頼むと目を丸くするような美味くて斬新な皿が次々に出て来る.
単品料理もまた格別で,特に焼きそばが絶品中の絶品.ここ以上に美味い焼きそばをついぞ食べたことがない.

そのシェフと四方山話をしていると,なんと筋金入りのであることが判明.
乗るたびに報告に上がらなければ.

2010/05/17

モバイル・ブロードバンド mobile broadband モバイル・インターネット mobile internet

最近出かける機会が増えたので,出先でのネット接続環境に敏感になってきた.

都市部のホテルに泊まる分にはほぼ間違いなく有線LANが敷かれていてインターネットにぶら下がっているので問題ない.

問題は,移動時の列車上,ホテル以外の外出先(病院とか講演会場とか),あるいは地方やへき地などでホテルにもWAN環境がない場合である.

そうした場合,現状では,

■Windows Mobile 6.1 on HTC Touch Diamond (NTT DoCoMo HT-01A)で直接ちまちまとネット閲覧

だけで辛抱している.

しかしWindows Mobileではブラウザに制限があり,高度なFlashやJavaのサイトはまともに閲覧できない.
いくつかのブラウザを乗り換えて,一番使い勝手が良くレンダリングも速いのはNetFront Browser【期間限定のコンセプト版だが期間は常に更新され続けるので実質無償】だが,PCブラウザで言えば昔のNetscape 3.0ぐらいの機能しかない(懐かしいなあ).

それにHTC Touch Diamondは遅い!遅すぎる!

鳴り物入りで登場したXperiaは店頭で実機を触ったがネット接続もその他のアプリケーションもかなりサクサク動くのでHTCとの違いは明瞭.
とはいえ高い金を払ってすぐに乗り換えるほどの決定的な魅力でもない.
何しろXperiaはビジネスユースよりもマルチメディア(死語か?)に特化した機体.自分はケータイでの動画再生や音楽プレーヤなんぞに毛ほども興味はない.


というわけでモバイル・ブロードバンド,モバイル・インターネット接続を真剣に検討することにした.

さて自分が知らない間に色んなモバイル・ブロードバンド業者が乱立していたようである.
パッと眺めるだけでは何が何やら分からない状態である.

いろいろ勉強してみると,どうやら通信規格が何か,でまとめるのがキモらしいと気付いた.

技術的には,携帯電話やモバイル・ブロードバンドに使用される通信方法(有線でない,移動可能な通信接続)のことを総称して「移動体通信」と呼ぶらしい.
移動体通信に分類される通信規格はかなり多様で,素人が把握できるレベルではない.

多様な企画のうち,いわゆるモバイル・ブロードバンドに使用されているのが,2010年5月時点では下記のようである.
ただしいずれも「日本国内で既に商用提供されているもの」 に限っている.

一般名称 規格名称 概要
無線LAN
(公衆無線LAN)
IEEE 802.11a/b/g/n 一般家庭やオフィスでも汎用されている普通の無線LANと同じ規格.
モバイルWiMAX IEEE 802.16e-2005 元々はへき地などの有線を届かせにくい土地(コストの問題で)向けのネット接続用無線規格の「WiMAX(IEEE 802.16-2004)」というのがあり,それを高速移動にも耐えられる無線規格としてバージョンアップさせた(?)のがこれ.
3G(第3世代移動通信システム) HSPA(HSDPA/HSUPA)
HSPA+
3Gは今どきのケータイに広く使われている通信規格の総称.
このうち,音声通話でなくデータ通信(ネット接続)用の規格が,HSPA.
HSPAの細分類で,HSDPAは下り用規格,HSUPAは上り用規格.
HSPA+は通信速度を増したバージョンアップ版.
次世代PHS XGP(eXtended Global Platform) PHSの技術をバージョンアップさせて高速通信に適応させた規格.日本での商用サービスはまだ始まったばかり.
※Wikipedia上では「次世代PHS」は「eXtended Global Platform」にリダイレクトされる.分類名と規格名の異同についてはややこしい事情があるらしいがここでは重要ではないのでWikipedia参照.

さてこれらが2010年5月時点の日本で具体的にどのような商用サービスに乗っているのか.
自分の環境にフィットするよう,
  • 通信のみ=プロバイダへの接続のみを提供
    • すなわち,自らはプロバイダサービスではない
  • 端末はノートPC(ネットブック含む)を想定
でまとめてみた.


一般名称 規格名称 業者 サービス名 通信速度
(ベストエフォート)
エリアカバー率
(2010年5月時点)
高速移動時の接続
(ハンドオーバー)
料金/1ヶ月
(下限~上限)
公衆無線LAN IEEE 802.11a/b/g/n 非常に多数 非常に多数数~数10Mbps主要鉄道駅,東海道新幹線などの列車車内,マクドナルド等.
列車沿線を除いて,半径100-200m程度のスポットに過ぎない.
都市部にほぼ限定される.
東海道新幹線は列車にアンテナ搭載.
その他はスポットなので高速移動を想定していない.
無償を含めて業者ごとに多様
モバイルWiMAX IEEE 802.16e-2005 UQコミュニケーションズ UQ WiMAX下り40Mbps
上り10Mbps
大都市圏+全県庁所在地までは拡大中.
地方はまだまだ.
東海道新幹線および成田エクスプレス車内も.
120km/hは技術的に担保.
実証試験では200km/hも大丈夫だったらしい.
380→4,980円
3G HSPA 3大ケータイキャリアFOMAハイスピード(DoCoMo)

※その他各キャリアを参照
FOMAハイスピード:
下り7.2Mbps
上り5.7Mbps

※その他各キャリアを参照
少なくともDoCoMoはFOMAハイスピードエリアの人口カバー率が100%らしい.
実際,山間地でも住宅が数軒あれば通じる印象.
公式見解は知らないが,DoCoMoユーザの実感としては300km/hの新幹線でもほぼ途切れない.DoCoMoパケホーダイダブル
スマートフォン端末のみで390→5,985円
PC接続(「インターネット共有」)で390→13,650円
E MOBILEEMモバイル・ブロードバンド
(一部HSPA+)
下り7.2~21Mbps
上り5.8Mbps
下り7.2Mbpsは地方都市や郊外の町村レベルもカバー.山間地や離島は×.
下り21Mbps(HSPA+)は印象として人口10万人超の都市圏のみ.
全体の人口カバー率は公称90%.
公式見解は60km/h以下を推奨
ネット上には,東海道新幹線でトンネルを除いてほぼ接続良好であったという報告あり.
プランが複数あるのでこちら参照.
WILLCOMWILLCOM CORE 3G下り7.2Mbps
上り384Kbps
地方都市や郊外の町村レベルもカバー.山間地や離島は×
全体の人口カバー率は公称99%.
公式見解は不明だが,このサービス自体がNTTのFOMAハイスピード網を利用したMVNOなので,FOMAと同じ体感になるはず?0→5,985円
次世代PHS XGP WILLCOM WILLCOM CORE XGP下り20Mbps
上り20Mbps
まだ2009年10月に開始したばかりの新サービスで,現時点のエリアは東京・山手線の3分の2程度こんな狭いエリアでは高速移動の是非もへったくれもない.4,380円+945円


やや煩雑な表になったが,上記の通り.

サービス選択のカギになるのは,当たり前だが,
  • エリアカバー率
  • 速度
  • 料金
の3点.
地方への移動が増えた自分としては,特にエリアカバー率が重要.しかもスポットでなく列車移動中でも接続できることが必要.

すると真っ先に公衆無線LANと次世代PHS(XGP)が消える

残るはモバイルWiMAXと3G.

ここで3Gなら既にDoCoMoのFOMAハイスピードをHTC Touch Diamond経由で利用しているので新規契約は不要そうだが,料金が高すぎる
すなわち,HTC端末だけでアクセスするならパケホーダイ・ダブルで上限5,985円だが,PC接続となると途端に上限額が13,650円に跳ね上がる
しかも,「Gmailをチェックして,ニュースサイトを4-5箇所見て,Googleでちょっとした調べ物をして,合計ページビューが50に満たない」ぐらいの接続1回で簡単に13,650円に達する

端末アクセスのみの5,985円との差額が実に7,665円であり,他社と契約して上限一杯に使った方がまだ安い
よって,現行のDoCoMoとの契約のみはあり得ない.


 さてモバイルWiMAXは3Gと似たような料金だがスピードがHSPAの5倍超,HSPA+に比べても2倍の速さである(あくまでベストエフォートだが).
これは魅力的なのだが,現時点のエリアカバーがまだ大都市圏と都道府県庁所在地に限定されているのが惜しい.
地方都市や近郊町村はカバー時期未定のようだし,当然,都市間移動の列車内での接続も(東海道新幹線を除いて)無理である.

結局,自分にとって選択肢は3Gしか残らないことになる.

すると,同じ3GでもE MOBILEあればHSPA+採用だしカバー率も悪くないしこれしかないのかなあ.


と,最後の最後でこのような記事もある.

モバイル・ブロードバンドは全員敗者になるマーケットである




※※2010/5/29追記(別記事)あり




 

2010/05/09

書物の覚え違いタイトル

図書館利用者が本のタイトルを勘違いして覚えていた,というリストを福井県立図書館が作成して公開しているが,ページビューがうなぎ登りだという.

見てみたら,これがべらぼうに面白い

福井県立図書館・覚え違いタイトル集


「あかちゃんのくるひ」が「おかあちゃんのくるひ」だったり,
「ネズミさん大ピンチ」が「ねこのとうさん大ピンチ」だったり,
「半島へ,ふたたび」が「蓮池さんの 半島へもう一回行ってみたい みたいな本」だったり,

これはもう,漢字誤変換コンテストをしのぐ絶品.

天領・どぶろく ★★★

ラベル: 天領・どぶろく
マイ評価: ★★★

  • 蔵元: 天領酒造(岐阜県下呂市萩原町;飛騨萩原)
  • 屋号: 天領
  • 製造: 21BY
  • 酒米: ひだほまれ(たぶん)
  • 精米歩合: 不明
  • 酵母: 不明
  • アルコール添加: なし?
  • 日本酒度: 不明
  • アルコール度数: 9度以上10度未満
  • 美味しかった呑み方: 冷や
  • 火入れ: なし?
ヨメ子供を車中に待たせて中島屋で酒を買って出てくると,玄関ドアに貼ってあった「天領・どぶろく」の広告を見ていたヨメが「どぶろく呑みたい」.

早速店にとって返してどぶろくを所望.
300mL入りの小ぶりな瓶だった.

そういえばどぶろくと濁り酒はどう違う?
中島屋の女将さんに尋ねてみると,

■どぶろく=醪(もろみ)そのまま
■濁り酒=醪を荒く濾過して米粒程度は取り除いたもの

だそうで.

後で調べたら同じことが天領のサイトにも書かれてあった.

なるほど,そういえばかつて一度だけ,門外不出のはずの白川郷のどぶろくを某家で呑ませてもらったことがあるが,酸味たっぷりの米粒つぶつぶで,店で買う濁り酒とは違うものだった.

後に白川郷を訪れてどぶろく祭が奉納される神社で尋ねてみると,モロ蔵付き酵母・モロ生酛の最も古典的な酒造りを神社でしているそうで(※財務省の許可をちゃんと得ている),出来上がった醪をそのまま嗜むのもまた最も古典的な日本酒の形態である.

そんなどぶろくを天領酒造が商品化したとのことだが,どぶろく造りは清酒造りとは違う免許が必要だと天領のサイトで知ってビックリである.
18へぇ

さてそのどぶろく.

米粒がつぶつぶとそのまま口の中で踊る.
確かに濁り酒とは違う.
非常に爽やかな酸味がひろがる.
アルコールが9度-10度とかなり低めだが,これってひょっとして米粒込みの重量パーセントだから相対的に低いんだろうか?それとも酵母の発酵がまだ途中なんだろうか?

美味い美味い,実に美味い.
この酸味が良い.
大人の甘酒,といった風情である.

良い買い物をした.ヨメの言うことは聞くものである.

越州・桜日和 ★★☆

ラベル: 越州・桜日和
マイ評価: ★★☆

  • 蔵元: 朝日酒造(新潟県長岡市)
  • 屋号: 
  • 製造: 21BY
  • 酒米: 千秋楽
  • 精米歩合: 55%
  • 酵母: 不明
  • アルコール添加: あり
  • 日本酒度: 不明
  • アルコール度数: 13度
  • 美味しかった呑み方: 冷や
  • 火入れ: あり
全国的には「久保田」で知られる朝日酒造だが,古くから地元では「朝日山」のラベルで知られている.
そしてもう一つ,「越州」というラベルもあって,自分は最近この越州がお気に入りである.

越州はもっぱら千秋楽という酒米で造られている.
千秋楽は元は新潟産の食用米だったらしい.
それがコシヒカリに取って代わられて以降,酒米として復活したとのこと.
朝日酒造のサイトに詳しい.

越州には5つのランクがある.

ランク ラベル 製法
1 壱乃越州 本醸造
2 弐乃越州 特別本醸造
3 参乃越州 特別純米
4 悟乃越州 純米吟醸
5 禄乃越州 純米大吟醸
(※ラベル名では4は験を担いで欠番)

控え目な旨味ながらも淡麗とは一線を画した柔らかさ・優しさがあり,とりわけ参乃越州から上のランクでその魅力がはっきりする.

越州は朝日酒造の本サイトから独立したサイトを開設している.


そんな越州シリーズだが,2年前から春限定ラベルの「越州・桜日和」が出荷されるようになった.

呑んでみると越州ならではの優しさだが,妙に薄味な感もある.
確かにアルコール13度と,原酒が流行る昨今としてはずいぶん低い度数である.
しかも醸造アルコール添加なので余計に味がマイルドになっている.

何も聞かずにただ口にしたら,「なんじゃこの薄めすぎの越州は」と思ってしまう.

ところが桜日和である.
このラベルだけで一気に形勢逆転という感じである.

桜日和と言われた途端に,「ああ,これは桜の酒だ」と膝を打って納得してしまう

3月半ばに入手して一口呑んだが,即座に,「これは桜が咲くまで取っておかねばならない」と決心した.
桜が咲いたらその下でこれを呑むぞと.

結局この春は子連れで歩いていける距離に良い桜がなかったので残念ながら花見酒とは行かなかったが,春にふさわしい,なかなか良い酒である.

逆に,春を過ぎたら呑む気が失せてしまいそう.
呑むならばうららかな陽気漂う今のうち.

知多蒸留所特製グレーン ★☆☆

ラベル: 知多蒸留所特製グレーン
マイ評価: ★☆☆

  • 蒸留所: サントリー
  • 地区: 知多
  • 原料: グレーン(トウモロコシ)
  • 熟成: 12年
  • アルコール度数: 忘れた
先のBLACK BUSHはモルトとグレーンのブレンディッドでモルトの穀物香が美味かったが,「じゃあグレーンは味がしないの?」とバーテンに尋ねてみた.

バーテン曰く,「基本的に味は目立たないですね.モルトウイスキーの味の調節のために加えられるのがグレーンですから」.
なるほど.
日本酒に添加する醸造アルコールのような役割か.

と話ながら,

「だからグレーンウイスキーというのは単独で商品化されないんですが,非売品でこういうのもありますよ.オマケにしとくんで一口どうぞ」

と勧めてくれたのがこれ.

サントリーと言えば山崎【京都府大山崎町】と白州【山梨県白州町(現・北杜市)】の蒸留所で知られているが,この2つはモルトの蒸留所.
グレーンウイスキーの蒸留所はこれらとは別に,知多【愛知県知多市】にあるのだという.
16へぇぐらいである.

あくまでモルトウイスキーに混ぜるために造っているグレーンウイスキーなので,それ単独では商品化しないが,取引先の酒屋などへのノベルティとしてボトリングして配布したのがこのボトルらしい.

さっそくストレートで味わってみる.

モルトに比べて,
香りが違うと言えば違うし,
コクが無いと言えば無い.

まあ何というか,確かにこれでは商品化しても売れなさそう.

ただ,これでも12年寝かせたものだそうで,期待していなかった分,それなりに美味かったとも言える.

話のネタにはなる.

Black Bush ★★☆

ラベル: BLACK BUSH
マイ評価: ★★☆

  • 蒸留所: オールド・ブッシュミルズ
  • 地区: アイルランド
  • 原料: モルト+グレーン
  • 熟成: 忘れた
  • アルコール度数: 40%
行きつけのバーで「一度アイリッシュを呑んでみたい」と所望した.
アイリッシュはスコッチに比べると蒸留所が数えるほどしかないらしい.
その中の代表的な1つを勧めてもらった.

聞けば,アイリッシュはピートを使わないそうである.もっぱら木炭.
なので呑みやすい味に仕上がる.
そしてこのBLACK BUSHはグレーンウイスキーも加えたブレンディッド.

実際の味も,分かりやすくて呑みやすい.
軽やかで甘い口当たり.
最後に穀物様の香りが鼻に抜けていく.
バーテンに尋ねるとモルトの香りらしい.
自分はスコッチのピート臭に慣れてしまっていたのでモルトの香りに今まで気付かないでいたようだが,モルトとは穀物の香りがしっかりするものなのか.

安心できるウイスキーであった.
あまり深く考えずに気楽にウイスキーを呑みたいときにちょうどよいか.

とりあえずアイリッシュを初体験しましたと言うことで.

Bowmore 16 wine cask matured ★★★

ラベル: Bowmore 16 years Wine cask matured
マイ評価: ★★★

  • 蒸留所: Bowmore
  • 地区: アイラ島
  • 原料: シングルモルト
  • 熟成: 16年(6年バーボン樽→10年ボルドーワイン樽)
  • アルコール度数: 53.5%

昨年来のお気に入りである.
行きつけのバーテンが昨年,「これ最近自分で気に入ってるんですよ」と勧めてくれたのが最初.

ボウモアの16年と最初に聞いて,珍しい熟成年数だと思ったら,「wine cask matured」である.
バーボン樽で最初に6年寝かせた後,ボルドーワインの樽に移し替えて10年.
グレンモーレンジなどで「○○ finished」というのを見かけるが,あれは最後の2年ぐらいのことらしい.
これはワイン樽での熟成が10年の長きに渡るためか,「finished」でなく「matured」.

カスク・ストレングスなので53.5%とかなり強め.
無防備に口に含んだ女性が吹いたのを見た.バーで酒を吹いてはいけません.

さてボウモアはアイラの中ではバランスのとれた味だと思うが,それでもピート臭ははっきりしている.
そのボウモアのピート臭が,このボトルではワイン香と混ざり合ったような雰囲気となり,口中で華やかに踊るようである.
ピートとワインが引き立て合って競演しているとでも言うか.
アルコールの強さが気にならないほどの華やかさである.

これは美味い.

なまなかな酒屋の店頭では見かけないし,一度だけ見かけたことがあったが随分高かった.
ネット通販でも売り切れ表示が多い.

でも一度は手元に買ってみたいスコッチである.

DOUBLE BARREL ★★☆

ラベル: DOUBLE BARREL
マイ評価: ★★☆

  • 蒸留所: Macallan+Laphroig(※製造元は忘れた)
  • 地区: スペイサイド+アイラ島
  • 原料: シングルモルトのバッティング
  • 熟成: 12年+8年
  • アルコール度数: 46%
実はウイスキー,特にスコッチのシングルモルトにも少しはまっている.
もっとも,1瓶が高いし,アルコールも強いので1瓶呑みきるのに時間がかかるので,日本酒ほどたくさんは呑めていない.
主にバーでチビチビ嗜む程度である.

その行きつけのバーに,何とも久しぶりに顔を出した.
約9ヶ月ぶりであった.
日曜の夜半,馴染みの客が1組残っているだけの頃合いに,無沙汰を詫びる気持ちでこっそり足を踏み入れた.
バーテンは驚いた顔をしながらも,以前と変わらず暖かく迎えてくれたのが嬉しかった.

9ヶ月分の四方山話をしながら,「何か変わったもの」と頼むと最初に出してくれたのがこれ.
これは初めて見た.

ダブル・バレルと言ってもショットガンのことではない.
Macallanの12年とLaphroigの8年,いずれもシングルカスク物を,1:1でバッティングしたという変わったスコッチである.

マッカランは王道(?)のスペイサイド,ラフロイグはアイラ島でもとりわけ個性的.っていうかラフロイグって昆布じゃん.
混ざったら一体どんな味になるのやらと早速ストレートで一口含んだ途端,
「実際呑んだら思いっきりラフロイグなんですけどね」
と飄々とバーテン.

このバーは実に行き届いた接客で,チーフバーテンの洋酒とカクテルの博学ぶりは半端でない.
酒を五感と理性と情感の全てで楽しませてくれる,岐阜が日本に誇る最高のバーである.
料理もとびぬけて美味い.
大変な苦労を重ねながらも店を支え続けるこのチーフバーテンダーに,自分より年下ながらも常に敬意を抱いている.

今や店の顔となったチーフバーテンだが,飄々とした表情で鋭くハズしてくることがしばしばある.
抑えの効いた笑いの取り方が自分は好きである.

絶妙なタイミングで出されたコメントに,確かに納得する.
思いっきりラフロイグだ.昆布だ.どこがバッテッドウイスキーなんだ,と最初は思う.
しかし,ラフロイグの強いピート臭が去った後,マッカランの深みのある甘さがいつまでも後味に残る

なるほど面白いスコッチである.

毎回呑みたいとは思わないが,たまにはこういうのも良いかなと.

それにしても9ヶ月ぶりのスコッチがこれってどうよ.

2010/05/08

鶴齢・特別純米:酒米4種4連発



ラベル: 鶴齢・特別純米・山田錦/越淡麗/美山錦/五百万石

  • 蔵元: 青木酒造(新潟県南魚沼市)
  • 屋号: 
  • 製造: 21BY(確か五百万石だけ20BYだったような)
  • 酒米: 山田錦/越淡麗/美山錦/五百万石の4種
  • 精米歩合: いずれも60%
  • 酵母: 不明
  • アルコール添加: なし
  • 日本酒度: 不明
  • アルコール度数: 不明
  • 美味しかった呑み方: 冷蔵
  • 火入れ: あり
知人が「鶴齢の特別純米で4つの酒米で造り比べたというのを手に入れた」と利き酒に誘ってくださった.
ホイホイと着いていく.

鶴齢は米どころ魚沼は塩沢地区,かの「北越雪譜」の鈴木牧之(ぼくし)の生地とのことである.
蔵元のサイトによれば,「鶴齢」の名も牧之が名付けたとか.
最近宮脇俊三をしきりに読み返しているが, 氏の著書には北越雪譜が何度か紹介され,雪国の厳しさを切々と伝えているという.

読み返すにつれ,宮脇俊三は蓋し名文家である.
戦後間もない頃に鉄道紀行を確立した百閒先生の「阿房列車」には心底舌を巻いたが, 「時刻表2万キロ」と続く「最長片道切符の旅」は間違いなく現代の阿房列車である.
阿房列車の人を食ったようなあまりに飄々とした文体は,その実,百閒先生が身を削るようにして推敲を重ねた結実と聞いている.それを知ったとき文筆家の凄まじさに驚嘆したものだが,超の付く乗り鉄でありながらもらしさを微塵も感じさせない宮脇氏の抑えた筆致もまたそうした推敲の果てなのだろうか.

いや話は鉄道ではなく酒である.

これは蔵元が「鶴齢」のラベルで4種の酒米(酒造好適米)で同じ精米歩合で造り比べたという面白い純米酒たちである.
麹や酵母のことまでは分からなかったが,おそらく同じ条件で造ったのであろう.
実は蔵元のサイトを覗いてもこの4種の酒は紹介されていない.
期間限定の企画品だったのだろうか.


さて利き酒の席に身を収め,やおらいただいた.
山田錦→越淡麗→美山錦→五百万石
の順に賞味.





ラベル: 鶴齢・特別純米・山田錦
マイ評価: ★★☆
さすが山田錦である.
山田らしい華やかな香りがすぐに口全体にひろがる.
特に,口に含んだ最初の2-3秒間,舌の表面だけに現れる柑橘系の香りの“層”が舌の上を滑る感じになる.
これは面白い.

面白くて美味いのだが,山田錦はあまりにメジャーすぎて自分は少々持て余す感がある.
天の邪鬼と言ってしまえばそれまでだが, 実際,この香りの強さはなかなか食中酒としては成り立たないし,何口か呑むと舌が飽きてしまう気もする.

というわけで★2つ.



ラベル: 鶴齢・特別純米・越淡麗
マイ評価: ★★★
次は越淡麗.
越淡麗については「田友」のポストを参照.
やはり米の名の通り淡麗な印象が第一.特に山田錦の直後では余計にそう感じる.
しかし,山田錦の向こうを張るために新潟県が苦心して開発したという米だけあってただ淡麗では終わらない.
淡麗の向こうに,スキッと鋭く旨みを研ぎ澄ました感じが溢れてくる.
山田とは違うフルーティな香り.
その香りの下側で,抑えた甘みと抑えた旨味.
しかしその甘さ・旨味がほのかに舌に残り続ける.
いつまでも残るので,また次の一口が欲しくなる.
美味いっ.

着流しの和服が似合う切れ長美人の居酒屋女将といったところか.





ラベル: 鶴齢・特別純米・美山錦
マイ評価: ★★☆
美山錦は長野県生まれの酒米である.
長野の地酒と言ったら美山錦.
それを新潟の蔵元が使ったわけである.

美山錦は独特の酸味があるように自分は思う.思い違いだったらごめんなさい.

鶴齢の美山錦は淡麗に造られているが,越淡麗とはひと味違った淡麗さである.
比較で言うなら,鋭く切り込んでくるカミソリのような淡麗さ.


切れ長の美人女将に対比するなら,祭鉢巻きを締め上げたいなせな祭娘といったところか.
↑全然分かんねーよ

ただ,「本物の地酒」へのこだわりというわけでもないが,長野の米で新潟の造りというのが100%調和しているとまでは言えなかったか.
美味い酒ではあるが,★2つとしておく.




ラベル: 鶴齢・特別純米・五百万石
マイ評価: ★★☆
確かこの五百万石のだけ20BYで1年熟成だったはず.理由は不明.

それはともかく.

ある意味で「さすが五百万石」.
五百万石らしく,全く華はない.
言わずとしれた新潟の米・五百万石であるが,いかにも新潟の酒らしい,質実剛健で実直な抑えた味わいである.
男が黙って呑む酒,とでも言いたくなるような.

切れ長の美人女将でもなく,いなせな祭娘でもなく,
丁稚奉公の年季を納めた後も店に忠義を尽くして勤め上げている真面目が信条の番頭,みたいな酒である.
↑ますます分からん

★は2つだが,雪国の厳しさを思い浮かべて眉間に皺を寄せて酒を呑みたいときは,これ.

着信御礼 m(_ _)m

最近ブログのポスト間隔が延びていたが,その間にもご訪問いただいているようで,気がついたら簡易カウンターが400を超えていた.
いつもご訪問ありがとうございますです.m(_ _)m

Urchin(Google Analytics)によると,検索円陣経由の方が7割.
ノーリファラーの2割の方々はブックマークしてくださっているんでしょうか?それともメールフッターのリンクから?
1割の方は参照サイトからとのことですが,初緑の「酒蔵おかみのブログ」さんしか心当たりがありません.
いずれにせよ皆さまありがとうございますです.m(_ _)m

さらにUrchinによると,トップページを除いて最もアクセスが多いのは,

Windows Mobile 6.1 (HT-01A)でデフォルトブラウザを変更

だそうで.皆さん結構困っていらっしゃるんですね.

日本酒関係で最もアクセスが多いのは,

久保田・生原酒(特別本醸造) ★★★

やはり久保田のネームバリューが高いからか?

ちなみにこの久保田生原酒,後にもう1本手に入ったので納戸で放置プレイ敢行中.冬の寒さも夏の暑さも室温放置なので1年後が楽しみ.

というわけで今日は一気に更新.

今後ともよろしくお願い申し上げます.m(_ _)m