ラベル: 鶴齢・特別純米・山田錦/越淡麗/美山錦/五百万石
- 蔵元: 青木酒造(新潟県南魚沼市)
- 屋号:
- 製造: 21BY(確か五百万石だけ20BYだったような)
- 酒米: 山田錦/越淡麗/美山錦/五百万石の4種
- 精米歩合: いずれも60%
- 酵母: 不明
- アルコール添加: なし
- 日本酒度: 不明
- アルコール度数: 不明
- 美味しかった呑み方: 冷蔵
- 火入れ: あり
ホイホイと着いていく.
鶴齢は米どころ魚沼は塩沢地区,かの「北越雪譜」の鈴木牧之(ぼくし)の生地とのことである.
蔵元のサイトによれば,「鶴齢」の名も牧之が名付けたとか.
最近宮脇俊三をしきりに読み返しているが, 氏の著書には北越雪譜が何度か紹介され,雪国の厳しさを切々と伝えているという.
読み返すにつれ,宮脇俊三は蓋し名文家である.
戦後間もない頃に鉄道紀行を確立した百閒先生の「阿房列車」には心底舌を巻いたが, 「時刻表2万キロ」と続く「最長片道切符の旅」は間違いなく現代の阿房列車である.
阿房列車の人を食ったようなあまりに飄々とした文体は,その実,百閒先生が身を削るようにして推敲を重ねた結実と聞いている.それを知ったとき文筆家の凄まじさに驚嘆したものだが,超の付く乗り鉄でありながらもらしさを微塵も感じさせない宮脇氏の抑えた筆致もまたそうした推敲の果てなのだろうか.
いや話は鉄道ではなく酒である.
これは蔵元が「鶴齢」のラベルで4種の酒米(酒造好適米)で同じ精米歩合で造り比べたという面白い純米酒たちである.
麹や酵母のことまでは分からなかったが,おそらく同じ条件で造ったのであろう.
実は蔵元のサイトを覗いてもこの4種の酒は紹介されていない.
期間限定の企画品だったのだろうか.
さて利き酒の席に身を収め,やおらいただいた.
山田錦→越淡麗→美山錦→五百万石
の順に賞味.
ラベル: 鶴齢・特別純米・山田錦さすが山田錦である.
マイ評価: ★★☆
山田らしい華やかな香りがすぐに口全体にひろがる.
特に,口に含んだ最初の2-3秒間,舌の表面だけに現れる柑橘系の香りの“層”が舌の上を滑る感じになる.
これは面白い.
面白くて美味いのだが,山田錦はあまりにメジャーすぎて自分は少々持て余す感がある.
天の邪鬼と言ってしまえばそれまでだが, 実際,この香りの強さはなかなか食中酒としては成り立たないし,何口か呑むと舌が飽きてしまう気もする.
というわけで★2つ.
ラベル: 鶴齢・特別純米・越淡麗次は越淡麗.
マイ評価: ★★★
越淡麗については「田友」のポストを参照.
やはり米の名の通り淡麗な印象が第一.特に山田錦の直後では余計にそう感じる.
しかし,山田錦の向こうを張るために新潟県が苦心して開発したという米だけあってただ淡麗では終わらない.
淡麗の向こうに,スキッと鋭く旨みを研ぎ澄ました感じが溢れてくる.
山田とは違うフルーティな香り.
その香りの下側で,抑えた甘みと抑えた旨味.
しかしその甘さ・旨味がほのかに舌に残り続ける.
いつまでも残るので,また次の一口が欲しくなる.
美味いっ.着流しの和服が似合う切れ長美人の居酒屋女将といったところか.
ラベル: 鶴齢・特別純米・美山錦美山錦は長野県生まれの酒米である.
マイ評価: ★★☆
長野の地酒と言ったら美山錦.
それを新潟の蔵元が使ったわけである.
美山錦は独特の酸味があるように自分は思う.思い違いだったらごめんなさい.
鶴齢の美山錦は淡麗に造られているが,越淡麗とはひと味違った淡麗さである.
比較で言うなら,鋭く切り込んでくるカミソリのような淡麗さ.
切れ長の美人女将に対比するなら,祭鉢巻きを締め上げたいなせな祭娘といったところか.
↑全然分かんねーよ
ただ,「本物の地酒」へのこだわりというわけでもないが,長野の米で新潟の造りというのが100%調和しているとまでは言えなかったか.
美味い酒ではあるが,★2つとしておく.
ラベル: 鶴齢・特別純米・五百万石確かこの五百万石のだけ20BYで1年熟成だったはず.理由は不明.
マイ評価: ★★☆
それはともかく.
ある意味で「さすが五百万石」.
五百万石らしく,全く華はない.
言わずとしれた新潟の米・五百万石であるが,いかにも新潟の酒らしい,質実剛健で実直な抑えた味わいである.
男が黙って呑む酒,とでも言いたくなるような.
切れ長の美人女将でもなく,いなせな祭娘でもなく,
丁稚奉公の年季を納めた後も店に忠義を尽くして勤め上げている真面目が信条の番頭,みたいな酒である.
↑ますます分からん
★は2つだが,雪国の厳しさを思い浮かべて眉間に皺を寄せて酒を呑みたいときは,これ.
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