2010/05/17

モバイル・ブロードバンド mobile broadband モバイル・インターネット mobile internet

最近出かける機会が増えたので,出先でのネット接続環境に敏感になってきた.

都市部のホテルに泊まる分にはほぼ間違いなく有線LANが敷かれていてインターネットにぶら下がっているので問題ない.

問題は,移動時の列車上,ホテル以外の外出先(病院とか講演会場とか),あるいは地方やへき地などでホテルにもWAN環境がない場合である.

そうした場合,現状では,

■Windows Mobile 6.1 on HTC Touch Diamond (NTT DoCoMo HT-01A)で直接ちまちまとネット閲覧

だけで辛抱している.

しかしWindows Mobileではブラウザに制限があり,高度なFlashやJavaのサイトはまともに閲覧できない.
いくつかのブラウザを乗り換えて,一番使い勝手が良くレンダリングも速いのはNetFront Browser【期間限定のコンセプト版だが期間は常に更新され続けるので実質無償】だが,PCブラウザで言えば昔のNetscape 3.0ぐらいの機能しかない(懐かしいなあ).

それにHTC Touch Diamondは遅い!遅すぎる!

鳴り物入りで登場したXperiaは店頭で実機を触ったがネット接続もその他のアプリケーションもかなりサクサク動くのでHTCとの違いは明瞭.
とはいえ高い金を払ってすぐに乗り換えるほどの決定的な魅力でもない.
何しろXperiaはビジネスユースよりもマルチメディア(死語か?)に特化した機体.自分はケータイでの動画再生や音楽プレーヤなんぞに毛ほども興味はない.


というわけでモバイル・ブロードバンド,モバイル・インターネット接続を真剣に検討することにした.

さて自分が知らない間に色んなモバイル・ブロードバンド業者が乱立していたようである.
パッと眺めるだけでは何が何やら分からない状態である.

いろいろ勉強してみると,どうやら通信規格が何か,でまとめるのがキモらしいと気付いた.

技術的には,携帯電話やモバイル・ブロードバンドに使用される通信方法(有線でない,移動可能な通信接続)のことを総称して「移動体通信」と呼ぶらしい.
移動体通信に分類される通信規格はかなり多様で,素人が把握できるレベルではない.

多様な企画のうち,いわゆるモバイル・ブロードバンドに使用されているのが,2010年5月時点では下記のようである.
ただしいずれも「日本国内で既に商用提供されているもの」 に限っている.

一般名称 規格名称 概要
無線LAN
(公衆無線LAN)
IEEE 802.11a/b/g/n 一般家庭やオフィスでも汎用されている普通の無線LANと同じ規格.
モバイルWiMAX IEEE 802.16e-2005 元々はへき地などの有線を届かせにくい土地(コストの問題で)向けのネット接続用無線規格の「WiMAX(IEEE 802.16-2004)」というのがあり,それを高速移動にも耐えられる無線規格としてバージョンアップさせた(?)のがこれ.
3G(第3世代移動通信システム) HSPA(HSDPA/HSUPA)
HSPA+
3Gは今どきのケータイに広く使われている通信規格の総称.
このうち,音声通話でなくデータ通信(ネット接続)用の規格が,HSPA.
HSPAの細分類で,HSDPAは下り用規格,HSUPAは上り用規格.
HSPA+は通信速度を増したバージョンアップ版.
次世代PHS XGP(eXtended Global Platform) PHSの技術をバージョンアップさせて高速通信に適応させた規格.日本での商用サービスはまだ始まったばかり.
※Wikipedia上では「次世代PHS」は「eXtended Global Platform」にリダイレクトされる.分類名と規格名の異同についてはややこしい事情があるらしいがここでは重要ではないのでWikipedia参照.

さてこれらが2010年5月時点の日本で具体的にどのような商用サービスに乗っているのか.
自分の環境にフィットするよう,
  • 通信のみ=プロバイダへの接続のみを提供
    • すなわち,自らはプロバイダサービスではない
  • 端末はノートPC(ネットブック含む)を想定
でまとめてみた.


一般名称 規格名称 業者 サービス名 通信速度
(ベストエフォート)
エリアカバー率
(2010年5月時点)
高速移動時の接続
(ハンドオーバー)
料金/1ヶ月
(下限~上限)
公衆無線LAN IEEE 802.11a/b/g/n 非常に多数 非常に多数数~数10Mbps主要鉄道駅,東海道新幹線などの列車車内,マクドナルド等.
列車沿線を除いて,半径100-200m程度のスポットに過ぎない.
都市部にほぼ限定される.
東海道新幹線は列車にアンテナ搭載.
その他はスポットなので高速移動を想定していない.
無償を含めて業者ごとに多様
モバイルWiMAX IEEE 802.16e-2005 UQコミュニケーションズ UQ WiMAX下り40Mbps
上り10Mbps
大都市圏+全県庁所在地までは拡大中.
地方はまだまだ.
東海道新幹線および成田エクスプレス車内も.
120km/hは技術的に担保.
実証試験では200km/hも大丈夫だったらしい.
380→4,980円
3G HSPA 3大ケータイキャリアFOMAハイスピード(DoCoMo)

※その他各キャリアを参照
FOMAハイスピード:
下り7.2Mbps
上り5.7Mbps

※その他各キャリアを参照
少なくともDoCoMoはFOMAハイスピードエリアの人口カバー率が100%らしい.
実際,山間地でも住宅が数軒あれば通じる印象.
公式見解は知らないが,DoCoMoユーザの実感としては300km/hの新幹線でもほぼ途切れない.DoCoMoパケホーダイダブル
スマートフォン端末のみで390→5,985円
PC接続(「インターネット共有」)で390→13,650円
E MOBILEEMモバイル・ブロードバンド
(一部HSPA+)
下り7.2~21Mbps
上り5.8Mbps
下り7.2Mbpsは地方都市や郊外の町村レベルもカバー.山間地や離島は×.
下り21Mbps(HSPA+)は印象として人口10万人超の都市圏のみ.
全体の人口カバー率は公称90%.
公式見解は60km/h以下を推奨
ネット上には,東海道新幹線でトンネルを除いてほぼ接続良好であったという報告あり.
プランが複数あるのでこちら参照.
WILLCOMWILLCOM CORE 3G下り7.2Mbps
上り384Kbps
地方都市や郊外の町村レベルもカバー.山間地や離島は×
全体の人口カバー率は公称99%.
公式見解は不明だが,このサービス自体がNTTのFOMAハイスピード網を利用したMVNOなので,FOMAと同じ体感になるはず?0→5,985円
次世代PHS XGP WILLCOM WILLCOM CORE XGP下り20Mbps
上り20Mbps
まだ2009年10月に開始したばかりの新サービスで,現時点のエリアは東京・山手線の3分の2程度こんな狭いエリアでは高速移動の是非もへったくれもない.4,380円+945円


やや煩雑な表になったが,上記の通り.

サービス選択のカギになるのは,当たり前だが,
  • エリアカバー率
  • 速度
  • 料金
の3点.
地方への移動が増えた自分としては,特にエリアカバー率が重要.しかもスポットでなく列車移動中でも接続できることが必要.

すると真っ先に公衆無線LANと次世代PHS(XGP)が消える

残るはモバイルWiMAXと3G.

ここで3Gなら既にDoCoMoのFOMAハイスピードをHTC Touch Diamond経由で利用しているので新規契約は不要そうだが,料金が高すぎる
すなわち,HTC端末だけでアクセスするならパケホーダイ・ダブルで上限5,985円だが,PC接続となると途端に上限額が13,650円に跳ね上がる
しかも,「Gmailをチェックして,ニュースサイトを4-5箇所見て,Googleでちょっとした調べ物をして,合計ページビューが50に満たない」ぐらいの接続1回で簡単に13,650円に達する

端末アクセスのみの5,985円との差額が実に7,665円であり,他社と契約して上限一杯に使った方がまだ安い
よって,現行のDoCoMoとの契約のみはあり得ない.


 さてモバイルWiMAXは3Gと似たような料金だがスピードがHSPAの5倍超,HSPA+に比べても2倍の速さである(あくまでベストエフォートだが).
これは魅力的なのだが,現時点のエリアカバーがまだ大都市圏と都道府県庁所在地に限定されているのが惜しい.
地方都市や近郊町村はカバー時期未定のようだし,当然,都市間移動の列車内での接続も(東海道新幹線を除いて)無理である.

結局,自分にとって選択肢は3Gしか残らないことになる.

すると,同じ3GでもE MOBILEあればHSPA+採用だしカバー率も悪くないしこれしかないのかなあ.


と,最後の最後でこのような記事もある.

モバイル・ブロードバンドは全員敗者になるマーケットである




※※2010/5/29追記(別記事)あり




 

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