ラベル: 田友(でんゆう)・純米吟醸
マイ評価: ★★★
- 蔵元: 高の井酒造(新潟県小千谷市)
- 屋号:
- 製造: 21BY
- 酒米: 越端麗100%(新潟県農業総合研究所作物研究センター,新潟県醸造試験場,新潟県酒造組合による共同開発)
- 精米歩合: 55%
- 酵母: 新潟酵母G9
- アルコール添加: なし
- 日本酒度: +2
- アルコール度数: 15-16度
- 美味しかった呑み方: 冷や,熱燗,燗冷まし
- 火入れ: あり
以下,小千谷の酒屋店主の話の受け売り.
何よりもこの米は「越端麗(こしたんれい)」と言って,新潟県が15年の歳月をかけてようやく数年前に商用栽培に成功した念願の酒造好適米とのこと.
いまや酒米と言えばどこを向いても山田錦(元は兵庫県生まれ)のような印象があるが,山田錦が支持されるのは強い吟醸香のため.新酒品評会では他の米は吟醸香華やかな山田錦にどうしても勝てないらしい.YK35なんて揶揄する言葉すらあるそうですな.
その山田錦に新酒品評会でも何とか勝てる米を新潟の誇りにかけて生み出したいと関係者が苦心して開発したのが,この「越端麗」だそう.
そして酵母にも新潟県が開発した「新潟酵母G9」を使用.
よって,米の開発地,米の産地,酵母の産地,もちろん仕込み水,のどれをとっても「新潟」という正真正銘の本物の地酒が,この「田友・純米吟醸」.
その味はと言えば,冷やで口に含むとジワリと柔らかい甘みと香りが染み通る.55%精米・アル添なしのためか吟醸香は強いとは言えないが,口に含んでいるうちにバニラとフルーツを混ぜ合わせたような甘い香りがスラスラスラっと広がる.低い声で「うまいっ」と唸らせる逸品.純米ならではの強い舌触りはもちろん健在.
次に燗を付けてみる.ぬる燗にするつもりがうっかり熱燗になってしまったが,冷やとは全く違う酒になるので驚く.熱燗でも舌や鼻をつくようなきつさは皆無で,一方甘い香りは冷やと違って舌に乗った瞬間に一気に膨らむ感じ.香りが舌の上でブワッと球のように大きくなるというか.やられた.
そして何より燗冷ましが美味い.冷やでの酒の強さが消え,熱燗での香りのふくらみもなりをひそめ,柔らかい甘みと香りだけが実に優しく舌を撫でる.討ち死に.
美味いです.
酒屋の主人によると,越端麗は商用栽培には成功したものの品質を安定・向上させるのにまだ数年はかかりそうとのことで,越端麗の酒は来年以降も成長が期待できるらしい.
いや参った.
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