2007/07/10

電子カルテ選択の私的基準(2007年5月現在)

 先日電子カルテを選んだ.血眼になって比較していたのでヘトヘトでした.
 その時自分で作った選択基準.
 どうでっしゃろ.

1. 基本仕様
 1.1 OS
  1.1.1 Windows 2000以上もしくはLinuxであること
 1.2 RDBMS/データベースエンジン
  1.2.1 信頼出来るものであること
   1.2.1.1 MS SQL Server
   1.2.1.2 Oracle
   1.2.1.3 MySQL
   1.2.1.4 PostgreSQL
 1.3 アプリケーション
  1.3.1 何で書かれているか;参考までに
   1.3.1.1 c++
   1.3.1.2 java
 1.4 規格
  1.4.1 MMLを採用しているのか否か
2. インターフェース
 2.1 カルテ参照
  2.1.1 連続日カルテを連続表示出来ること
   2.1.1.1 指定/抽出した複数カルテを連続表示出来ること
  2.1.2 複数患者カルテを同時に参照出来ること
   2.1.2.1 参照元からコピーペーストが容易に出来ること
   2.1.2.2 参照数(患者数・履歴数とも)に制限がないこと
   2.1.2.3 2号紙の他に診療行為別に表形式等で履歴表示されること
  2.1.3 サマリー画面が常時表示されること
   2.1.3.1 プロブレムリスト
   2.1.3.2 健診受信歴
   2.1.3.3 予防摂取歴
   2.1.3.4 既往歴
   2.1.3.5 家族歴
    2.1.3.5.1 家族のIDへのリンク
   2.1.3.6 アレルギー歴
   2.1.3.7 副作用歴
   2.1.3.8 その他ユーザーカスタマイズによる履歴
   2.1.3.9 身長・体重履歴
  2.1.4 家族・親族(ユーザー指定による)を片隅にでも表示出来ること
 2.2 カルテ(2号紙)入力
  2.2.1 複数患者カルテを同時に入力出来ること
   2.2.1.1 兄弟・親子・夫婦同時受診のため
  2.2.2 入力途中のカルテを「仮終了」のような形でペンディングに出来ること
 2.3 各種リマインダー
  2.3.1 ルーチン検査
  2.3.2 紹介,再紹介
  2.3.3 個別To Do(連絡,資料準備など)
 2.4 排他的な操作画面が極力少ないこと
 2.5 看護,他職種系
  2.5.1 看護や栄養相談など独自の入力インターフェースが存在するか
  2.5.2 独自でなく2号紙でも良いが誰(どの職種)が入力したものか一目で分かるか

3. 入力系
 3.1 ATOKが使えること
 3.2 殆どの動作をキーボードで行えること

4. テンプレート類
 4.1 シェーマの描きやすさ
  4.1.1 ペンタブレット必須
  4.1.2 画面タブレットでないこと
  4.1.3 任意の画像を貼り付けられること
 4.2 複数テンプレートを同時使用出来ること
 4.3 テンプレート類作成・修正がカルテ入力ongoing中でも同時並行で容易に可能なこと

5. 処方
 5.1 画面上に自動表示させる薬剤情報(医師向け)を自由に内容変更出来ること
 5.2 薬剤ごとに自由なタグを付けられること
 5.3 併用禁忌データベースを備えていること
 5.4 適応病名が傷病名に存在しない場合にアラートを出してくれること
 5.5 類似名称の誤選択を防止する機能があること
  5.5.1 類似名称を色で強調してくれる
  5.5.2 類似名称をユーザーが自由に指定出来る
 5.6 ある患者において全ての処方歴を薬剤個々で時系列・表形式で一覧表に表示出来ること
 5.7 処方箋は医師のデスクで印刷出来ること(実物を処方監査するため)
 5.8 診療所単位・医師別・時期別等の処方動向の統計が出せること

6. 検査
 6.1 検体検査がMML対応・自動取り込みに対応していること
 6.2 時系列表示・印刷・加工が容易なこと
 6.3 ある検索項目について複数患者に渡る統計がとれること
  6.3.1 ○年○月のHbA1cの度数分布,など
 6.4 微生物培養検査の感受性検査の結果について統計がとれること
  6.4.1 ローカルファクターの抽出

7. 医事
 7.1 受付リストに来院時間→待ち時間が表示されること
 7.2 郵便番号による住所自動補完機能があること
 7.3 保険者番号による保険者補完機能があること
 7.4 地方公費・自賠責・労災に100%対応していること
 7.5 レセプトチェック機能
 7.6 請求漏れチェック機能
 7.7 2号紙や診療行為を参照しながら傷病名入力・修正が可能なこと

8. データベース機能
 8.1 検査データから自動計算してくれること
  8.1.1 LDL
  8.1.2 Cockcroft
  8.1.3 MDRD
  8.1.4 その他ユーザが任意に指定するもの
 8.2 条件指定した複数患者から全文検索出来ること
 8.3 保険病名とは別のプロブレムリストを作成出来ること
 8.4 ICPC-2を入力出来ること
 8.5 その他,元データベースから自由にデータを抽出して独自に加工出来ること
 8.6 あらゆる項目(2号紙内フリーワード,プロブレムリスト,傷病名,各種診療行為)で全文検索がかけられること
  8.6.1 絞り込み・抽出が多層構造で実行出来ること

9. メンテナンス
 9.1 点数更新・修正アップデート・マイナーバージョンアップ等はオンラインで可能なこと
 9.2 オンラインメンテナンスが可能なこと
  9.2.1 ISDN回線でもLAPLINKでも何でもいい
 9.3 サポート体制の詳細
  9.3.1 他院のユーザ評価について率直に自己評価を

10. ライフサイクルと市場規模
 10.1 初期発売はいつか
 10.2 現在のバージョンと直近のメジャーバージョンアップの時期はいつか
  10.2.1 発売やメジャーバージョンアップから日が浅ければ採用直後の不具合が生じやすい
 10.3 市場規模(過去販売実績)はどの程度か
  10.3.1 市場規模が小さければ近い将来に撤退=バージョンアップ中止のリスクが

2007/07/01

ジョークRFC

 マルチパートとかMIMEについて基本的知識をおさらいしようと検索していたら偶然下記のページを見つけた.
ジョークRFC
 手旗信号とか思いきり笑ってしまった.

 それだけ.すんません.

2007/06/21

グラム染色:何が見えている?その1

※写真はクリックすれば原寸表示されます

80歳女性,典型的な膀胱炎症状を訴えて受診されました.全身状態・バイタルサインに問題なし.
尿を沈渣したものをグラム染色(neo B&M)してみました.
すると小型のGNRと大型のGNRの両方が見えました.
小型のGNRはE.coliその他enterobacteriaceaeと考えて,ciplofloxacin 300mg×2回×7日間投与しました.培養は未着.
さてこの大型のGNRは何が考えられるのでしょうか?どなたかコメントいただければ幸いです.

※外来が混んで急いでいたのでドライヤーの熱風で乾燥させました(固定は無水エタノール).好中球が破壊されているのはそのせいかと….ごめんなさい m(_ _)m.

2007/06/20

EtchでのIceweasel=FirefoxとIcedove=Thunderbird

Sargeの頃からだったような気がするが,Mozilla FirefoxとThunderbirdはそれぞれIceweaselとIcedoveという名前になっており,アイコンも異なる.

どうしてだろうと思っていたが,Wikipediaによるとこういうことらしい.

Wikipedia : Iceweasel
(以下,一部引用:引用日時07/06/20 00:42AM)

Mozilla FoundationはMozilla Firefoxのブランド戦略を精力的に推し進め、非公式なMozilla Firefoxに対して商標の利用を拒否する権利を行使することを方針としている。これにより、特別な許諾を持たない場合は、Mozilla Firefoxを配布する際に次のうちどちらかを採用する必要がある[1]
  • 名称を別の名前に変更したソースコードを使ってコンパイルするとともに、公式のロゴなどを使用しない。
  • Mozilla Corporationから提供されたバイナリをそのまま配布する。
この方針を受けたDebian Projectは討議の結果、Iceweaselという名称を新しく作成した。

そういうことだそうです.一つ勉強になりました.

Debian - EtchのKDEでデフォルトブラウザを変更する

KDEではKDEコントロールセンターでデフォルトwebブラウザを変更できるはずなのだが,

KDEコントロールセンター
→KDEコンポーネント
→コンポーネントの選択
→Webブラウザ

Iceweasel(=Firefox)とIcedove(=Thunderbird)ではどうもうまくいかない=IcedoveからリンクURLをクリックしてもKonquerorが立ち上がってしまう.

そこで,
#update-alternatives --config x-www-browser

`x-www-browser' を提供する 3 個の alternatives があります。

選択肢 alternative
-----------------------------------------------
*1 /usr/bin/konqueror
2 /usr/bin/epiphany
3 /usr/bin/iceweasel

デフォルト[*] のままにするには Enter、さもなければ選択肢の番号のキーを押してください:

これでiceweaselを選べば良い.

なんでコントールセンターだけでは設定不完全なのかな?

2007/05/11

縫合を要する小外傷において感染リスク/抗菌薬投与の必要性をどう同定するか?

 一般診療所や救急外来でよく遭遇する小外傷(数針程度の縫合を必要とするような)は果たして抗菌薬投与は必要なのか?という疑問.

研修医時代の救急外来で当直医が小外傷縫合後に当然のように抗菌薬を投与するのを見てきて,盲目的にそのやり方を信じてきた.(もちろん洗浄やdebridementを充分に行うのが前提である)
しかし本当に必要なのか?無駄な投与を行ってきたのではないか?


Surgical Site Infectionの概念ではtraumaによる創は受傷から4時間を境に「contaminated」か「dirty」に分類される.

■An overview of surgical site infections: aetiology, incidence and risk factors --- Table 1
http://www.worldwidewounds.com/2005/september/Gottrup/Surgical-Site-Infections-Overview.html#Table1

しかしこの表をよく見ると「penetrating trauma」とあり,この語を別にGoogleってみるとどうやら「blunt trauma(鈍的外傷)」の対義語として「穿通性外傷」を意味しているらしい.

http://04.members.goo.ne.jp/home/matsubomb/cd/0.html
※真ん中下ほど,「【2】外傷の分類」参照

このページでは”大きな外傷”が扱われており,本稿で想定している小外傷とはあまり御縁がないかもしれない.


そこで検索キーワードとして「surgical site infection」ではなく「traumatic wound infection」を採用してみた.
主にGoogleで検索し,たまたまヒットしたPubMedのabstractから更にrelated articlesをたどって…という感じで探してみた.

以下,見つけたもの.

■Risk Factors for Infection in Patients with Traumatic Lacerations
Academic Emergency Medicine Volume 8, Number 7 716-720
http://www.aemj.org/cgi/content/abstract/8/7/716
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=AbstractPlus&list_uids=11435186&query_hl=4&itool=pubmed_DocSum

【研究目的】
外傷性裂創(traumatic lacerations)において創感染と相関する因子は何か
【研究デザイン】
Cross-sectional study
【研究方法】
縫合を要した裂創で,抜糸時の感染の有無を測定.多変量解析でodds ratio(OR)を算出.
【結果】
患者5521人中195人(3.5%)に創感染あり.
Likelihood ratioが有意に高い因子として,
◆患者の年齢;1歳ごとにOR 1.01(1.0-1.02)
◆糖尿病;OR 6.7(1.7-26.4)
◆裂創の幅;1mmごとにOR 1.05(1.02-1.08)
◆異物の存在;OR 2.6(1.3-5.2)
逆に減少する要素として,
◇頭頸部裂創;OR 0.28(0.18-0.45)
【結論】
創感染の確率を決定する因子は創と患者の双方にあった.


■Prediction of traumatic wound infection with a neural network-derived decision model.
Am J Emerg Med. 2003 Jan;21(1):1-7.
http://www.ajemjournal.com/article/PIIS0735675702422279/abstract
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&list_uids=12563571&dopt=Abstract

【研究目的】
Uncomplicated traumatic sutured woundにおける創感染をpredictする決断モデルを,
人工ニューラルネットワーク(※)を用いて確立,評価すること
【研究デザイン】
Prospective cohort study
【研究対象】
教育病院のERにやってくる縫合を要する外傷患者
【研究方法】
治療担当の医師は標準化された外傷治療プロトコルを遵守.
医師は縫合終了後の創感染発生率を5段階評価(5-point scale)で予測.
創感染は抜糸時に盲検で観察.
ニューラルネットワーク解析を用いて,入力変数の重みづけと決断方程式(decision equation)の抽出
【結果】
1142件の外傷中,感染率は7.2%.
Predictive factorsは,
◆外傷の部位
◆外傷の時間経過
◆外傷の深達度
◆外傷の形状
◆外傷の汚染
◆患者の年齢
Decision equationを抽出するために,ニューラルネットワークを半数の件数を用いて訓練(train)し残りの半数で試行した.
抽出された決断モデルを創感染に対する診断検査として用いると,感度70%・特異度76%であった.医師
では(医師による判断も診断検査として測定すると)感度54%・特異度78%であった.
【結論】
上記7変数を組み合わせて用いることで,ニューラルネットワークから抽出された決断モデルはuncomplicated traumatic woundの感染リスクを同定しうる.

(※)[人工]ニューラルネットワーク
Wikipediaより
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF

「ニューラルネットワーク(Neural network)は、脳機能に見られるいくつかの特性を計算機上のシミュレーションによって表現することを目指した数学モデルである。生物学や神経科学との区別のため、人工ニューラルネットワークとも呼ばれる。」

■A prospective evaluation of risk factors for infections from dog-bite wounds.
Acad Emerg Med. 1994 May-Jun;1(3):258-66.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?itool=abstractplus&db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=abstractplus&list_uids=7621206

Prophylactic oral antibiotics for low-risk dog bite wounds.
Pediatr Emerg Care. 1992 Aug;8(4):194-9.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?itool=abstractplus&db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=abstractplus&list_uids=1513728

■Cat bite wounds: risk factors for infection.
Ann Emerg Med. 1991 Sep;20(9):973-9.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?itool=abstractplus&db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=abstractplus&list_uids=1823783

■Cat and dog bites. What to do? Guidelines for the treatment of cat and dog bites in humans.
Acta Chir Belg. 2006 Nov-Dec;106(6):692-5.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?itool=abstractplus&db=pubmed&cmd=Retrieve&dopt=abstractplus&list_uids=17290697


結局,縫合を要する小外傷においてどういうcriteriaで感染を予測し抗菌薬投与をどうすべきかまではこれら論文では決断出来なかった.
_| ̄|○

2007/01/29

岐阜市・西濃近郊の公園

2歳児程度の身体能力が前提

■ふれ愛公園-神戸町
安八郡神戸町 大字田 字下流
http://www.town.godo.gifu.jp/content/lifeguide/park/park01.htm

◇目玉
ローラーコースター
スパイラルネット

◇設備
○駐車場
○トイレ
○手洗い

■大垣公園-大垣市
http://www5.city.ogaki.gifu.jp/WebBase.nsf/0/0257c15b7a06a93249256e0400417524?OpenDocument

◇目玉
斜度60度の滑り台

◇設備
×駐車場→南側に市営駐車場
○トイレ
○手洗い

 平日15時を過ぎると学校帰りの小学生が増えて遊具を占領される

■アンヒルパーク-安八町
安八郡安八町大野343
http://www.town.anpachi.gifu.jp/sogo.html
http://www.at-gifu.com/play/anhiru/index.html

◇目玉
ローラーコースター

◇設備
○駐車場
×トイレ
×手洗い


 その他下記参照.

http://www7.ocn.ne.jp/~hopstep/park.htm

2007/01/12

Postgraduate medical placements in rural areas: their impact on the rural medical workforce.

Postgraduate medical placements in rural areas: their impact on the rural medical workforce.
Rural Remote Health. 2006 Apr-Jun;6(2):481. Epub 2006 Apr 4.
PMID: 16594864

INTRODUCTION:
1988年オーストラリアNSW州がRural Resident Medical Offer Cadetship Programを設置.
  1. 僻地病院の若手医師不足解消のため
  2. 医学生を僻地に暴露することで僻地勤務志望者を増やすこと
医学部最後の2年でNSWの僻地で勉強する医学生に奨学金を支給.代わりに卒業直後3年間のうち2年間をNSW僻地病院ネットワークで過ごすことを義務づける.
1989-98年の間にCadetship Programに入った医学生の卒後動向を2004年に評価.

METHODS:
1989-98年に同プログラムに入った医学生107人が対象.うち卒業しなかった3人,僻地ローテーションを完遂しなかった13人,卒後動向が把握できなかった9人(計25人)を除外.

RESULTS:
2004年時点で43%が僻地勤務.国家全体では20.5%の医師が僻地勤務.
46%は僻地の小学校出身.
44%はGPを選択.
勤務地選択の主要な決定因子はcareer choice.
僻地のバックグラウンドは勤務地には影響がなさそう.
一方で僻地勤務者の70%はGP.
現在研修中の者では,GP選択者の全員が僻地,専門科選択者25名中2人だけが僻地.これは僻地での研修環境の有無による.

CONCLUSIONS:
本プログラムは医学部と僻地医療,特に僻地GPとを効果的に繋ぐ.
僻地でのトレーニングを提供することがこの成功の中心要素.